《プレHIDEMIの物語 Vol.5》午後の診察室、そしてHIDEMIへ ― 小さな自転車が走った場所

HIDEMIサロンへようこそ。

HIDEMIという場には、言葉にならない記憶が流れています。

ここから綴るのは、その記憶のいくつかを、
小さかった私の目線や体感を通して見えていた風景とともに記したものです。

これは私個人の思い出でありながら、
この空間に刻まれた“場の記憶”でもあります。

《プレHIDEMIの物語 Vol.5》午後の診察室、そしてHIDEMIへ ― 小さな自転車が走った場所

 

HIDEMIサロンのセッションルームのドアの上には、
「相談室」と「診療室」と書かれた、二枚の小さなプレートが掲げられています。
父が営んでいた医院の名残。なぜかそれだけが、そっと残っているのです。

昔の診療所には、午前と午後のあいだに、長めのお昼休みがありました。
その時間、父は往診に出かけたり、事務作業や文献調べをしたり。
そして、きっと昼寝もしていたでしょうか……

けれど、もっと印象的だったのは、
その“昼の時間”に子どもたちが集まっていたことでした。
近所のお子さんが、当時は珍しかった診療所の電卓で遊んだり、
宿題を持ってやってきたり。
膝の上で、宿題をしていた子もいたそうです。

父は小児科医で、子どもが好きだったから、
そんなふうに自然と“子どもたちの居場所”になっていたのかもしれません。

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《プレHIDEMIの物語 Vol.4》― 庭に刻まれた記憶 ― 祖母・なをと、祖父の離れ ―

HIDEMIサロンへようこそ。

HIDEMIという場には、言葉にならない記憶が流れています。

ここから綴るのは、その記憶のいくつかを、
小さかった私の目線や体感を通して見えていた風景とともに記したものです。

これは私個人の思い出でありながら、
この空間に刻まれた“場の記憶”でもあります。

《プレHIDEMIの物語 Vol.4》
― 庭に刻まれた記憶 ― 祖母・なをと、祖父の離れ ―

 

この庭には、何かが宿っている気がする。
目に見えないけれど、たしかにここに流れているもの――

私はそれを、遠い山の記憶から、
連れてきているのかもしれないなと感じている。

そこに静かに座っていた祖母の姿が、
いまもこの庭の空気のなかに溶け込んでいる気がする。

昭和41年、5月。
東京・板橋の庭にて――
祖母・玉置なを、88歳。

写真屋さんを呼んで撮ったその一枚は、
まるで家族の記憶を庭に刻む、静かな儀式のようだった。

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《プレHIDEMIの物語 Vol.3》建物の記憶と“少年の声”――玉置医院からHIDEMIへ

HIDEMIサロンへようこそ。

HIDEMIという場には、言葉にならない記憶が流れています。

ここから綴るのは、その記憶のいくつかを、
小さかった私の目線や体感を通して見えていた風景とともに記したものです。

これは私個人の思い出でありながら、
この空間に刻まれた“場の記憶”でもあります。

《プレHIDEMIの物語 Vol.3》建物の記憶と“少年の声”――玉置医院からHIDEMIへ

52年前、まだコンクリの建物が職人さんの手で作られていたころ。
HIDEMIの前身、玉置医院の建築が始まりました。

型枠を作り、生コンクリートを流しこむ。今ではコスト高の方法ですが、
そのころはそれが一般的でした。
父と毎日現場に見に行くのが、なによりもワクワク楽しかったのです。
1階、2階、3階と出来上がっていく過程を、ドキドキしながら見守っておりました。
それまでは平屋の診療所。日本家屋のような診療所でした。
その庭に建てられつつある父のビル。

憧れの「階段がついたよ」と父に聞いて、「2階に上がれる!」と
まだ幼い私は、よいしょ、よいしょ、と小さな声を出しながら、一段ずつ登っていったことを覚えています。
2階からの景色は、ひらけていて、見慣れた景色が違って見えました。

昭和のおおらかな時代。工事現場は子供たちの遊び場。
今にしてみてみれば、なんて雑然とした工事現場。
でも、そこには確かな人の気配と、子供たちの笑い声がありました。

医院建築らしく、飾り気を排したシンプルな造り。
その外壁に、そのころ広まりつつあった茶色の施釉タイルが貼られました。
しっとりと光る色むらが、柔らかな奥行きを生む施釉タイル。
今ではもう作られていない、その一枚一枚の表情に、当時の手仕事の気配がそっと残っています。 “《プレHIDEMIの物語 Vol.3》建物の記憶と“少年の声”――玉置医院からHIDEMIへ” の続きを読む

《プレHIDEMIの物語 Vol.2》余白に息を吹きこむ―整えなおすという始まり

整えなおすこと、余白を生むこと

HIDEMIサロンへようこそ。
今日も小さな物語を綴ります。

都市にひそむ「余白」:渡良瀬遊水地の風景

今日、夫と行った渡良瀬遊水地。
緊急時に水を受け止めるために整えられた空間。
普段は穏やかな草原の風景で、ただの“広がり”にしか見えないかもしれない。
でも実際には、どんなときでも人々の暮らしを守るためにそっと準備されている場所。

令和元年10月の台風19号のときも、
この渡良瀬遊水地のおかげで私たちの暮らしが守られました。


いわばこれも都市の「余白」かもしれないな…と、しみじみ感じました。
そして、穏やかな草原から伝わる、確かな先人の慈しみの響き。

今日はその「余白」の話をしたいと思います。

整えなおすことと、余白を生むということ

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《プレHIDEMIの物語 Vol.1》扉がひらいた日―HIDEMIサロンがはじまるまで

《プレHIDEMIの物語 Vol.1》扉がひらいた日―HIDEMIサロンがはじまるまで

HIDEMIサロンへようこそ。
今日は、HIDEMIサロンができるまでの小さなお話を綴ります。

「ふつうの人」であろうとしていた頃

わたしはずっと、「ふつうの人」でありたいと思っていました。
難聴のあるわたしにとっての「ふつう」とは、
聞き返さずに、スムーズに人と話ができること。

だから、どんな場面でも気を抜かずに、
一生懸命に相手の口の動きや表情を読み取りながら、
会話の流れを想像して、合わせていました。

それが“努力”だと思っていたし、
“ちゃんとしている”ということだと思っていました。

でも、今思えば、
音を聞くということに、24時間365日、
心も身体も、ずっと張りつめていたのだと思います。
気づかないうちに、ずっと「緊張して生きていた」のでしょう。

漆黒のなかに、星が瞬いた

そんなわたしが、あるとき出会ったのがアクセスバーズのセッションでした。

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HIDEMI/都市の静域 ― あらためてはじまります。

HIDEMIサロンへようこそ。

HIDEMI/都市の静域 ― あらためてはじまります。


これまで「HIDEMIサロン」は、

静寂、平穏さ、無の自分に還る場所として、
多くの方に寄り添い続けてきました。

その想いはそのままに、
これからは「HIDEMI」という、ひとつの静かな領域=静域として、
都市にある一棟のリトリート施設として展開していきます。

かつて医院だった建物に宿る、癒しとケアの記憶を受け継ぎながら、
“本来の自分に還る場所”として、
さらに広く、深く、そしてひらかれた存在へと歩み出します。

 

HIDEMI/都市の静域

それは、整える・学ぶ・ひろがる・出会う
そんな4つの静かな体験ができる場所。

都市にいながら、まるで深い森や杜に足を踏み入れたような――
そんな静けさと感覚の還る場所を、4つのかたちで育てていきます。

9月より、順次ひらかれる4つの場所

1階 HIDEMIサロン(Salon)
― 整え、ひと息つき、本来の自分と出会うセッションの空間

1階 HIDEMIスクール(School)
― 意識と可能性をひらく学びの場(アクセス・コンシャスネスクラスなど)

1階 HIDEMIスタジオ(Studio)
― 集い、感じ、ひらかれる表現と交流の場

2階~3階 HIDEMIサードスペース(3rd Space/Retreat Stay)
― 宿泊・滞在・小さな集いや会の開催も可能な、
 より深く“自分に還る”静かな滞在空間

この先のHIDEMIへ

この4つの場所すべてに共通するのは、
無理なく、自分のままでいられるということ。
そして何より、自分の内にある本来の静けさに、ふたたび触れていける場所であるということ。

その中心には、これまでと変わらず、
HIDEMIサロン=小さな静域としての空間があります。

これからも、少しずつ整えながら、
HIDEMI/都市の静域としての時間と空間をお届けしていきます。

どうぞこれからも、よろしくお願いいたします。

-これからの予定-

☆6月から1階の改装工事が始まり、
スクール/スタジオ空間が整えられていく予定です。
☆サロンでのセッション、クラスにつきましては、1階が改装工事のため、
2階でセッション 3階でクラスを行っております。
☆3階のサードスペースの宿泊(民泊)は、消防署の防火対処物の検査の後、諸申請を完了後、開始いたします。

「HIDEMI」はこの場所からはじまります
ご期待ください。