HIDEMIサロンへようこそ。
今日は、HIDEMIサロンができるまでの小さなお話を綴ります。
「ふつうの人」であろうとしていた頃
わたしはずっと、「ふつうの人」でありたいと思っていました。
難聴のあるわたしにとっての「ふつう」とは、
聞き返さずに、スムーズに人と話ができること。
だから、どんな場面でも気を抜かずに、
一生懸命に相手の口の動きや表情を読み取りながら、
会話の流れを想像して、合わせていました。
それが“努力”だと思っていたし、
“ちゃんとしている”ということだと思っていました。
でも、今思えば、
音を聞くということに、24時間365日、
心も身体も、ずっと張りつめていたのだと思います。
気づかないうちに、ずっと「緊張して生きていた」のでしょう。
漆黒のなかに、星が瞬いた
そんなわたしが、あるとき出会ったのがアクセスバーズのセッションでした。
最初は半信半疑で横になっていただけなのに、
セッションが進むにつれて、頭の中がふわっとゆるみ、
心が静かにほどけていくのを感じました。
目を閉じているのに、なぜか、星空が見えたんです。
深い漆黒の空に、星がキラキラと瞬いていて、
それがただただ、安心で、静かで――
何とも言えない安堵の気持ちに包まれていました。
そのとき、
「わたしは、ここにいていい」
そんな感覚が、初めて身体の奥から立ち上がってきたのです。
無になって、でもひとりではないと感じた
あのとき感じたのは、静寂と平穏、そして“無”へと還るような感覚。
でもそのなかには、たしかにぬくもりがありました。
わたしは無になっていくのに、ひとりではない――
そんな不思議な安らぎが、そっと身体にしみ込んでいったのです。
この感覚を、言葉ではなく、わたしの手の温かさを通して届けられたら素敵だな。
そう思って、アクセスバーズを学びました。
あのときの静けさを、必要としている人がきっといる。
薬局の奥の小さなお部屋で、ひっそりとセッションをはじめたのです。
それが、HIDEMIサロンのはじまりです。
場そのものが語りはじめた
「ここに来るだけで整う気がする」
「ただ、ここにいるだけで、なんだか軽くなる」
そんなふうに言ってもらえるたびに思うのです。
わたしが“何かをしている”のではなくて、
この空間そのものが、静けさと優しさをまとっているのだと。
セッションという枠を越えて、
ここは「ひとが自分に還る」ためのスペースなんだと感じるようになりました。
癒しとケアの“記憶”が息づく場所
この場所は、かつて父が開いていた「玉置医院」だった建物です。
地域の人の痛みや不安に寄り添い、ケアを提供してきた空間。
その歴史と記憶が、見えないところでこの場を支えてくれている気がしています。
だからこそ、ここでは何も飾らなくても、自然に人がほっとできるのかもしれません。
今は、新しい形で、癒しとケアの場としてこの場所を引き継いでいます。
そして、静かに広がっていく
HIDEMIサロンは、セッションルームが一部屋だけの小さな場所です。
でもこの空間のなかで、人は肩の力をふっと抜いて、
本来の自分に戻っていきます。
変わらなければいけないのではなく、
ただ自分に還る。
そのプロセスを、そっと見守る場所でありたいと思っています。
これから迎える、新しいHIDEMIへ
この夏、「HIDEMI」という名のもとに、
この場所はさらに広がりをもって「都市の静域」へと進化していく予定です。
でも、どんなにかたちが変わっても、
この場所に流れているやさしい静けさはきっと変わらない。
これからも、
「あなたはここにいていい」と伝えられるような、
そんな場所であり続けたいと思っています。